不動産の価値は管理業務の良し悪しで決まるとも言われています。管理業務の内容は多岐にわたり、規模によっては所有者本人で行える場合もありますが、不動産会社へ委託するのが一般的です。
ここでは不動産会社の行う賃貸管理について詳しく見ていきましょう。
入居者への対応は入居期間が始まった時から重要となってくる業務です。具体的には家賃入金状況の確認、滞納者の特定・滞納者への支払い督促業務、クレーム対応などがこれに当たります。
度重なる家賃滞納はトラブルへ発展するケースが多々あります。家賃の入金状態の管理は確実に行い、滞納者へは適切な督促を行うのも不動産会社の行う大切な業務の一つです。
また、入居者同士や近隣環境での騒音トラブル、ゴミ出しでのトラブルなど、入居者からのクレームに関して対応するのも業務の一つ。関係が少しこじれてしまうだけで、解決のための労力と時間は大きくなります。丁寧で適切な対応と正確な状況把握・記録が事態の悪化を防ぎます。
契約更新の時期には更新案内・更新合意書など書類の作成や送付が必要になってきます。更新料の請求も、賃貸管理業務の大切な仕事です。入居者ごとの更新時期に合わせて、正確に準備を進めていかなくてはなりません。
退去に関しても明け渡しが済めば終了…というわけにいきません。退去立会いや滞納している家賃の回収、原状回復工事の発注・精算・費用の回収まで責任をもって行います。
契約更新や退去に関しては書類作成のほか、ケースによって異なる清算や費用徴収など細かな業務が時期によって重なる場合があります。それらを滞りなく行っていくのも、不動産会社の大切な業務です。
不動産物件の供給が過多傾向にある日本では、空室率が上昇しています。条件によっては需要がある地域なのに、その物件の空室だけ埋まらない…というケースもあります。空室状態ではオーナーの収入になりません。そこで近隣の競合物件の募集状況の調査・分析をし、入居してもらえるための対策を立てて実行していく必要があります。
たとえば募集条件の変更を所有者に提案したり、ほかにはない付加価値を付けて物件の魅力を高めるためにリノベーションや共有部分の改修など費用のかかることを提案したり…など。いかにして空室をなくしていくか、プロとしてどう動くのか、そこが不動産会社の腕の見せ所です。
不動産の資産価値は、建物の管理で変わるといっても過言ではありません。それくらい建物の管理は不動産会社にとって重要な業務となります。
建物は日々変化があります。たとえば雨が降った後のエントランスのドロ汚れ、共有スペースの電気が切れていたり、集合ポストからはみ出たチラシが放置されていたり…そういった細かなことへの対応は、入居希望者が見学をする際などに必ずチェックされ、不動産自体の評価に影響してきます。
ほかにも外壁の経年劣化、屋上の防水塗装の劣化、耐震調査、空室のリフォームなども重要なポイント。建物の価値を維持するためには、長期的に計画し、修繕・補修などの管理をしていく必要があります。
不動産会社では回収した家賃や礼金・更新料などの収入と、管理報酬(管理業務委託料)や立て替えた工事費用、広告料などを集計。送金明細を作成し、オーナーのもとへ月に1度送金します。その際、送金だけでなく各契約者の家賃支払い状況や物件の稼働状況、宣伝広告などの報告やトラブルなどの状況報告なども行っていきます。
こういった報告を行うことは非常に重要で、また所有者とのコミュニケーションをとる大切な機会でもあります。オーナーと信頼関係を築いていくことにもつながり、ひいては顧客満足度の向上にもつながるでしょう。
賃貸業務は入居者の対応から建物の管理、所有者の対応…とやらなくてはいけない仕事がとても多く、そのどれもが手を抜けないことばかりです。ときには入居者からのクレームで罵声を浴びせられることもありますし、煩雑な書類作業が山積みになることもあります。
法律や建物についての知識も深めていないと対応できない事例もあるので、常に勉強が必要になってきますし、入居者や所有者とのトラブルを防ぐためにコミュニケーション能力も必要になってきます。それほど大変な仕事ですが、やりがいも大きなお仕事です。
「毎月の入金管理に追われている」「契約書などの書類作成に時間がかかる」「業者手配や連絡期日の把握が大変」などの悩みを抱えている場合は、賃貸管理システムの導入がおすすめです。グッと業務を効率化することができ、スタッフの負担を大きく軽減できるほか、空いた時間で顧客満足度向上につながるプラスアルファの仕事にも手が回るようになります。賃貸管理システムの主なメリットは以下の通りです。
とくに月末・月初は家賃の管理だけでなく、いろいろな入出金の取引が集中します。取り扱い物件数が少ないうちはExcelなどで対応できていたとしても、物件が増えていくにつれて、目視で明細を確認し入力していくのは困難になってきます。そのうちミスも発生してしまいかねません。
そういったところをカバーしてくれるのが賃貸管理システムです。賃貸管理システムにもさまざまなタイプが登場していますが、共通して言えるのは「入力がExcelよりも簡単で見やすくなること」。入力作業などの作業効率が飛躍的に上がります。
Excelでの業務との決定的な違いは一括管理ができるうえ、ほかのスタッフとリアルタイムで情報が共有できるところ。取り扱う物件数が増えるにしたがってファイルが重くなり、バラバラなファイルから情報を探すのに時間がかかってしまったり…といったことがなくなります。
入居者管理は入居者が発生したタイミングから必要が生じます。しかし、入居者管理以外にも業務がある場合には、非常に手間が掛かる作業です。効率化できるようなポイントを見ていきましょう。
入居がはじまると、何らかのトラブルがあったり、定期的に書類対応などが発生し、対応に時間を割かれるという担当者は多いのではないでしょうか。
事前に来店時間を伝えてくれている場合は良いものの、突然足を運ばれる場合もあるでしょう。そのような場合、自身の業務をコントロールすることができないというケースは少なくないのではないでしょうか。
電話対応や来店対応は、所要時間が分からないからこそ対応する際に困ると言えます。また、電話や対面で急に聞かれた内容にどれほど迅速に回答できるかという点も、情報がきちんと整理されていなければ難しいポイントと言えるでしょう。
したがって、賃貸管理システム上にQ&Aのようなマニュアルを保管しておいたり、必要情報をすぐに取り出せる仕組みを作っておくことが大切です。
「誰が言った」「誰も言っていない」という連絡は、非常に時間の無駄と感じる人は少なくありません。伝言ゲームのように関係者が増えるほど、「言った」「言っていない」という論争になりやすい傾向があります。その結果、引継ぎや、早急に伝えるべき連絡が漏れてしまうケースがあるでしょう。
メールや電話、口頭で伝えた内容は全て、システム上で保管することを心掛けましょう。そして情報の確認は人伝えではなく、きちんとテキストベースで残しておくことが大切です。いつ、どのタイミングで、誰が何を言ったのかを把握や確認することができれば、連絡や引継ぎの手間を省くことが可能です。
契約更新を「いつ」「どの住まいの」「どの部屋に住んでいる人」が行うのか、という点を把握することに手間が掛かる場合が多いのではないでしょうか。情報をきちんと把握し、必要なタイミングで入居者に情報展開をする必要があります。
時期を見て自動でリマインドされる機能があると、抜け漏れがなく安心ですよね。賃貸管理システムでは更新周期さえ入力しておけば、自動でリマインドを行ってくれます。そのため、都度入居者ひとりひとりのデータをたどる必要がなく、要らない手間を省くことができます。
近隣住民の騒音や水回り、周辺環境など、クレームが発生する要因はひとつではありません。これらに対応するのは管理会社の役割であり、都度対応する必要が生じます。関係性を悪化させないためにも、迅速に正しい状況を把握することが大切です。
どこで何が起きているかという情報を、正確に把握することが大切です。同じマンションに暮らす住民の過去のトラブル履歴などを残しておけば、必要に応じて過去にも同様の事案があったことが分かるのではないでしょうか。
いつでも引き出せる場所に正確に情報を置いておくことを意識しましょう。
住民によっては、家賃を催促しないと支払わない場合もあるのではないでしょうか。これらの住民に工数をかけるのはもったいないようにも感じますが、マンション管理の観点に立てば重要な役割です。
誰がどのくらい家賃を滞納しているのか、いつ、誰がどのような案内をしたのかを明確に記録として残しておく必要があるでしょう。その内容を元に、2手、3手を検討する必要があります。全員が同じ情報を共有した上で、督促業務にあたることが大切です。
建物を管理したり、不動産管理を実施しやすくするポイントとしては、どのような点があるのでしょうか。観点別にご紹介します。
日々の清掃業務はルーティン化し、清掃員が変わってもブレずに業務を継続していくことができる点がポイントです。チェックリストなどを展開したり、定期的に見回りをするなどして、きちんと掃除が実行できるかを見ると良いでしょう。
日々の清掃業務の積み重ねで、マンションなどの建物の清潔感は変わってきます。きちんと実施することがクレームなどの低下につながる可能性が高いことを理解しておきましょう。
時間が経てば建物は老朽化していきます。また、天候や災害などによって大きく建物が崩壊する可能性も0ではないでしょう。ゆえに、日々のメンテンナンスが重要になってきます。
定期的にメンテナンスを行う箇所や担当を決めておくことで、抜け漏れなくメンテナンスを行うことが可能です。管理ツールを上手に活用したり、リマインド機能を駆使することで、定期的なメンテナンスを抜け漏れなく実施できると安心です。
一定の期間ごとに、法律に基づいた点検が必須となります。ただ点検をするだけでなく、報告義務も生じることから、どのような手順で実施すると良いか、フォーマットのような形で保管しておくことが理想です。
このような点検は実施するタイミングが限られているからこそ、担当者変更や退職で引継ぎがしにくい業務です。マニュアルのようなものを準備しておくと丁寧でしょう。